旦那さんが浮気をして離婚話が出たとき、

「婚姻関係はすでに破綻していてそのために浮気に
 至ったのだから、慰謝料は払わない」

と言われることがしばしばあります。

これはどういうことかと言うと、

“すでに正常な「夫婦関係」とは言えないほどに
関係は破綻していて、修復も難しい状況であった。”

“離婚という段階を踏んでいなかっただけで、
すでに「夫婦」とは言えない関係であった”

“その上で配偶者以外の女性と不貞行為をしたとしても、
旦那さんに有責があるとは言い難い”

ということです。

しかし、奥さんとしてはそんなことを言われても、

「破綻していたつもりもないし、
 離婚の直接的な原因はあなたの不倫でしょう」

という話になります。

これでは「破綻していたから浮気した」と主張する
旦那さんと、「破綻したのはあなたの浮気のせい」と
主張する奥さんとの水掛け論になります。

話し合いは「卵が先かニワトリが先か」状態になって
しまうのです。

 

「不貞行為をした側からの離婚請求」は可能?

これは、話し合いによる「協議離婚」であれば
不貞行為をした本人でも離婚を請求することは可能です。

離婚には4つの種類があり、そのうち「協議離婚」と
「調停離婚」であれば、夫婦間で双方が合意に達すれば
離婚できます。

そのため「原因」や「責任」を問われたりすることは
ありません。

しかし奥さんが離婚を拒んだり、条件に納得できず
「審判離婚」や「裁判離婚」に発展した場合では、
「不貞行為をした側からの離婚請求」は認められません。

そのため、旦那さんは「婚姻関係は破綻していた」と
主張することで、離婚を認めさせようとする
のです。

もし本当に破綻していたのであれば、例え旦那さんが
不貞行為を犯したとしても離婚請求自体はできます。

さらに不貞行為に関しての慰謝料は支払わずに済んだり、
大幅な減額になる可能性もあります。

しかし、結果的に「破綻していたのか」を判断するのは
裁判所になります。

 

「破綻する」とはどういう状況を指すのか

これを法的に示すには、客観的な視点で立証できなければ
いけません。

例えば

「別居をして、それが一緒に住んでいた期間よりも長い」

であったりです。

また、別居はしていないが、「家庭内別居状態」であった
という主張は、具体的には下記のような状態を指します。

・食卓を共にせず、配偶者の分のご飯も用意していない

・寝室が別であり性交渉を1年以上、正当な理由もなくしていない

・生活のリズムを故意にずらして、お互いに顔を合わせようとしない

これら全て当てはまり、なおかつ長期間継続的に行われているので
あれば「家庭内別居状態」であると認められるかもしれません。

これを証明するのは「破綻していた」と主張している
旦那さん側に、立証責任があります。

さらに上記のことが当てはまったとしても、「家庭内別居」と
認められない場合もあります。

生活の共同空間であるトイレやお風呂場、玄関などの掃除や
旦那さんの分の洗濯やアイロンがけなどの家事を奥さんが
一人で行っていた場合です。

なぜならこれらの家事を行うことで、奥さんが旦那さんの生活を
支えていると言えるからです。

奥さんが「夫婦関係は破綻していなかった」という主張を
証明したい場合には、家族で食事をした日や外出した日、
旅行した日などを日記に記しておきましょう。

そして夫婦でコミュニケーションを取ったことを
書き記しておくといいでしょう。

 

離婚が認められやすい状況とは?

実は裁判所で「婚姻関係の破綻」での離婚が認められる
ケースとして、認められやすい状況というのがあります。

それは、

・お子さんがいない

・お子さんがいたとしても、すでに親のサポートなしで
 生活できる状況にある

・共働きであるなど、離婚によってどちらかが著しく
 生活が貧窮したりしない状況にある

・病気などがなく、サポートなしで生活が送れる状況にある

ということです。

このような項目に当てはまれば当てはまるほど、破綻して
いたことが立証されれば、離婚は認められやすいと言えます。

しかし、この項目を満たしているからといって正当な理由なく
離婚をすることは「双方が納得した上での協議離婚」以外では
難しい
のです。

もしも「破綻」が認定されなかった場合には、裁判所から
有責任者として、正式に旦那さんが認定されることになります。

はっきり言って「婚姻関係の破綻」を主張しての離婚というのは
とても難易度が高い
のです。

 

奥さんに「離婚の意思」があるかどうか

どちらにせよ、最終的な判断を下すのは裁判所になります。

旦那さんが不貞行為をした証拠を、奥さんが
押さえている場合、どうなるのでしょうか。

旦那さん側が「夫婦関係の破綻」を立証できなければ、
有責事項は旦那さん側にあると判断されることになります。

奥さんが離婚を望まないのであれば、離婚は回避できる
でしょう。

奥さんは「離婚をする意思があるのか」に重点を置いて
裁判を進めていくことになります。

もしも奥さんが離婚を望んでいないのであれば
回避できる可能性は高い
といえます。

「離婚のステップ」を進めていくとき、十分に考えながら
どういう方向性で進めて行きたいのかを決めるようにしましょう。

《POINT》

「離婚のステップ」は
「協議離婚」→「調停離婚」→「審判離婚」→「裁判離婚」
となります。

「協議離婚」で合意しなければ「調停離婚」、
それでもダメなら「審判離婚」、「裁判離婚」へと
段階を踏んで進めていかなければなりません。